東西線・葛西駅より西へ徒歩5分の場所に位置する、昔ながらの駄菓子屋さん。
創業時のエピソードから、長年お店が続いていくご縁や工夫についてお話しを伺いました。
筆者:創業年数についてお聞きしてもよろしいでしょうか。
店主:昭和39年(1964年)の4月から始めまして、初めはアイスクリームの卸しをやっていたんですよ。それで、当時はものすごく売れたんですよ。昭和の時代は、冷蔵庫のない魔法瓶の時代だったんですね。
アイスクリームというと、夏場が圧倒的に売れるんですよ。冬の製品も、例えばロッテの「雪見大福」や「ピノ」などがありますけど。
それで、昭和44年(1969年)に東西線が開通しまして、この町も爆発的に人が増えてきたんですけど、それまでは区画整理でお店を建てられなかったんです。昭和49年(1974年)にこの店を開いたんです。東西線ができて5年くらいですか、区画整理が進んでこの町も徐々に発展していったんですよ。
当時は特に、こういうよろず屋のように何でも扱うお店が繁盛しましたね。西葛西のエリアまでこういうお店がなかったので、多くの方がここを通りましたよ。
筆者:アイスクリームの卸し屋さんから始まって、東西線開通をきっかけに現在のお店をオープンさせたのですね。
こちらは駄菓子を中心に販売されているかと思いますが、本当にいろんな種類がありますね。
店主:そうですね。駄菓子は、少ない予算でいろいろ買えますし、安くておいしいから、結構飽きないで来てくれるんですよ。
代表的なのは、「うまい棒」ですね。それから「餅太郎」や「ふ菓子」なんかもね。このあたりは約50年続いているものばかりです。商品によっては、1シーズン出しても次のシーズンにはもう販売されていないというものもあるんですが。定番のものはずーっと続いているんです。それと同じように、明治や森永、ロッテなどは人気ですね。それだけ長年研究して、市場に合うものを作っていますからね。
駄菓子の定番、うまい棒。味のバリエーションが豊富で、お子さんから大人の方まで今でも広く親しまれていますね。
筆者:時代の変化に合わせて取り入れていっているものなどはありますか?
店主:ありますね。スナック菓子の代表だと、「ポテトチップス」ですね。あとは「ハートチップル」とか。寒い冬なんかはこたつに入って召し上がったりするんでね。ソースで絵を描いたりして、家族団らんの時間に使っていただいているんです。
だからね、駄菓子って意外と根強いんですよ。
筆者:世代を超えて親しまれているのですね。
店主:そうなんです。あとは、外国に住んでいる方がお正月やお盆に葛西へ帰省されたりするとうちへ来てくれるんですよ。「おじさん元気だった?」ってね。駄菓子を買って、友と分け合って・・・そういうふうな思い出があるんですよね。ありがたいことですよ。
筆者:なるほど!それは素敵ですね。
様々な種類がありますが、人気の駄菓子はどちらでしょうか。
店主:そうですね、こういう当たりが出るものは人気がありますね。当たりが出るとそれを持ってお店に来て、そこでまた買っていってくれるんですよ。
めくると当たりが出るくじ付きのグミやチョコ。筆者も小学生の頃、当たりが出るのが嬉しくてよく駄菓子屋さんで買っていました。とても懐かしいです!
筆者:このめくるタイプのグミ、懐かしいですね!私も駄菓子屋さんでよく買っていました!
ちなみに、お店としておすすめのものはありますか?
店主:おすすめは、安くしている商品ですね。少しシーズンが過ぎていたり、賞味期限が近いものを特価で販売しているんです。「ニコニコセール」っていって、2つセットで売ったりなんかもしていますよ。少しでも皆さんに安くておいしいからと買っていただくんです。
それで、おいしかったからとまたご来店いただいた時にはもうないんです。1回きりで売れてしまうのでね。
訳あり商品をセットでお求めやすく販売しており、どれも大変お買い得です。店内は手書きのポップがびっしりと並ぶ様子がとても印象的です!
筆者:ご来店された時に購入しないと売り切れてしまうというレア感が良いですね!
駄菓子以外で取り扱っている商品もあるのでしょうか。
店主:日用品を置いています。必要な時に、必要な分買っていただけるようね。あとは調味料なんかも、ご馳走を作ってる時に足りなくなって買いにとんできてくれることもありますよ。日付の長いもので、皆さんが買っていくものを取り揃えています。
パーティーやイベントの時にまとめ買いしてくれる方もいますね。
筆者:なるほど。必要な時に頼りになる安心さは大切ですよね。
普段はどういった方がよくご来店されますか?
店主:やはり、お子さんが多いですよね。学校や幼稚園から帰ってきたらお母様と一緒に来てくれたりします。大人の方でも、子どもの頃に来ていたのが懐かしくてまた買いに来てくれたりしますよ。地方に行っている方が帰省された時もいらしゃいます。なのでお盆やお正月もお店を開けておくんですよ。元旦からやっています。
親子3代でご来店いただいたりもしています。それでお店も50年続いているんですから、ありがたいことですよ。皆さんの支えがあってこそです。
筆者:とても素敵なことですね!
お客様とよくお話しされるのかな、という印象があるのですが。
店主:コミュニケーションは大切にしていますね。ちょっとなまりがあったりすると「どちらのご出身ですか?」とお聞きしてみたり、ご出身地に旅行に行ったときの思い出話をすると話が弾むことがあるんです。その時にお話ししたからまた後日ご来店いただいた、ということもありますよ。
そうやって、少しでもリピーターを増やしていくようにしています。少しでもきっかけがあればお話しするようにしていますね。
筆者:お話ししたことがきっかけで、ご縁が繋がっていくのですね。
最後に、こちらのお店で力を入れて取り組んでいることを教えてください。
店主:そうですね、少しでも安くておいしいものを提供するということで、一日おきに仕入れをして、問屋さんも「本日のお買い得」というかたちで出してくれていますから、それを仕入れてきて早速店頭に並べて販売しています。
訳ありのものを仕入れて、僕が最初に食べてみて、味の感想を書いた紙を商品のところに出しておくと読んでくれる人もいます。
(手書きの調理法の紙を見せていただいて)ピーナッツなんかは、普通に食べるだけでなく、ちょっとした調理方法を考えて提案するんです。食べるラー油と柿の種を組み合わせてお家で作れますよ、とかね。僕も食べることは好きですからいろいろやってみるんですよ。その提案がきっかけになりますからね。
店主お手製のレシピメモ。バターピーナッツや柿の種を食べるラー油と組み合わせるとおいしいのだとか。このレシピを実践するために買いたくなりますね!
50年続く石川商店さんの秘訣は、経営するご夫婦のお人柄、お客様とのご縁を繋ぐコミュニケーションやこのお店ならではの工夫にありました。
あたたかさ溢れるこちらのお店で、ぜひ懐かしの駄菓子や日用品をお求めになってみてはいかがでしょうか。
取材を受けてくださった店主と、すぐ近くで見守ってくださった奥様。お二人のあたたかいお人柄にこちらも心あたたまりました。
店名 | 石川商店 |
---|---|
住所 | 東京都江戸川区中葛西3-14-16 |
電話 | 03-3688-2769 |
営業時間 | 9:30~19:30 |
定休日 | 不定休 |